クレームとは感情をぶつけることではない

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「職場体験」の中学生を受け入れる当日の早朝。お客さんから一本の電話が。

「こんな早朝に何事!?」と思って電話に出ると「昨日組み替えてもらったタイヤ、空気抜けてっぞ!」と驚きの内容。「すぐ行きます!」と言い、機材一式を積み込んでお客さんの事業所まで急行。

現地に着いて見れば、配送の2トントラックが傾いているではないか!昨日組み替えたばかりの冬タイヤが、ものの見事に空気が抜けて凹んでいるのだ。

うちの工場ではトラックのタイヤを組み替える設備がないので、組換えは外注先にお願いしていた。だから「外注先のミス」なんだけど、エンドユーザーから見ればそんな事は関係ない。

まずい。配送のトラックの、積み込み時間が迫っている。何とかせねば。

現場でジャッキアップし、ホイールナットを緩め、凹んだタイヤを外す。スペアタイヤをおろし、空気圧を確認して、凹んだタイヤを外したところに装着する。締め付けトルクを確認したところで、担当のドライバーさんが出社。

担当のドライバーさん、所長さんに事情を説明し、どうにか積み込みと配達はセーフ。

その後、凹んだタイヤを持って外注先へ。「クレームを伝える」という珍しい場面に、職場体験の中学生も同行する羽目に。

「クレーム」は感情をぶつける手段ではない。

「不完全な人たちが集まって、不完全な社会を作っている。だから相手の不完全さを補うのは自分の役割」と心得ているから。

恐縮する外注先の方に伝えたのは「エンドユーザーが気にしているのは、原因が『部品』にあるのか『作業』にあるのか、です。原因が『部品』なら、この一本を直せば問題は解決です。ですが原因が『作業』にあるなら、これまで組み替えてもらったタイヤ全数のチェックが必要になります。」

これまで作業してもらったトラックは3台。1台あたりタイヤは6本。もし原因が作業した人の経験不足や知識不足にあるならば、18本のタイヤ全部を見直さないと安心できない。

数時間後、外注先から電話があり「部品が原因でした」とのこと。これでようやく一安心。だがまだ仕事が残っている。

配達のトラックが戻ってきたタイミングでタイヤを取りに行き、現地で再び交換。その後念のため、18本のタイヤ全部の空気圧をチェックし、大きく空気圧が下がっているタイヤがないことを確認して作業終了。

「クレームは感情をぶつける事ではない」
「お互いの不完全さを補い合うのが社会」
「エンドユーザーの業務を第一に考える」

職場体験の中学生にそう語りかける。リアルな現実を目の前でつぶさに見てきただけに、真剣に聴いてくれる。

滅多にない体験ができたんじゃないかな。

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