三方良し

※これは2018年にFacebookに投稿した記事をリライトしたものです。

知らない番号から電話があり、キー閉じこみをしてしまったので、レスキューに来て欲しいという。

なんでうちなの？
JAFじゃなくて？

場所は私が子供の頃に通った幼稚園のすぐ近く。勝手知ったる場所なので、とりあえず道具を持って向かう。

現場に行ってみると、キー閉じこみではなく、キーがリアバンパーに入り込んで取り出せなくなったのだという。

？？？どういう状況？
どうしてそうなった？

軽の箱バン。リアゲートを開けて作業中、荷室の微妙な位置にキーを置いておいたら、キーが滑り落ちた。滑り落ちた場所がドアキャッチの部分で、ちょうどそこに隙間があり、バンパーの裏側に入り込んだという。

そのまま地面までストンと落ちて来そうなものだが、どこかに引っかかっていてどうしても出てこないのだという。見れば確かに、バンパーをズラしたり外そうとして悪戦苦闘した跡がそこかしこに見受けられる。

それでもキーは取り出せず、仕方なく飛び込んだのが、同級生の営む自転車屋さん。そこで同級生から電話番号を聞いて私に連絡してきたのだという。

なるほど。

状況や背景は分かったけれど、とりあえずキーを取り出さないことには問題は解決しない。

まずはバンパーに埋め込まれているテールレンズを外す。その奥に隠しネジがあり、これを外さないとバンパーは動かない。それからいくつかのボルトやクリップを外し、バンパーが緩んだ所でようやく「チャリン」とキーが落ちてきた。

「おぉーっ」と歓声があがる。

「2,000円だね」「え？いいのすか？」「領収証ないけどいい？」「ありがとうございます！」そんなやりとりをしてから別れた。

ちなみに、バンパーの真下がグレイチング。キーがそこに落ちたらアウトなので、段ボールでグレイチングを塞いでおいた。またテールレンズを外したので、その動作確認もしておいた。それらの手間を考えると、2000円ではチト安かったかな。

地元の酒屋さんに行き、頂いたお金で缶ビールを買い、うちの工場を紹介してくれた自転車屋の同級生に何本か置いてきた。

３者とも笑顔になって、微妙に意味は違うけど、三方良しって感じかな。