中学生の職場体験を受け入れる理由

未分類

※これは2018年にFacebookに投稿した記事をリライトしたものです。

鈴木 博之
鈴木 博之さんはFacebookを利用しています。Facebookに登録して、鈴木 博之さんや他の知り合いと交流しましょう。Facebookは、人々が簡単に情報をシェアできる、オープンでつながりのある世界の構築をお手伝いします。

中学2年生が3人、職場体験に来てくれました。男の子ふたりと、女の子一人です。

  • サービスカーの車検整備
  • 鉄くず処分×200kg
  • 取引先回り×6社
  • タイヤとホイールの分別作業
  • 非鉄金属処分×70kg
  • 中古車の車検整備
  • まとめ

二日間という短い時間でしたが、結構もり沢山でした。

うちの工場は最後に「まとめ」の時間があります。二日間の職場体験で得たことを、学校に帰ってから「新聞」という形で発表するので、その準備をお手伝いするのです。

事務所のホワイトボードを使って、男子二人はサクサクとまとめを進めていきますが、女の子は書いたり消したり、ホワイトボードに頭をつけてため息をついたりと、全然進んでいない様子。

「はーい、ちょっとこっち来て」そう言って女の子を呼び、膝を突き合わせるようにして座り、お話をしました。

「何か問題を抱えているでしょ?」
「どこで悩んでいるの?」

言葉を変えて何度か質問を繰り返していくうちに、エアーツールの扱いや力を要する作業で男子と同じようにできず、焦りを感じてしまい、何をまとめていいか分からなくなっていました、そんなことをようやく話してくれました。

顔を見ると、ヤバイ!
もう泣きそうになっています。

「あー楽しかった!と笑顔で帰って欲しい、そう思ってやっています」
「初めからできる人なんていない、それが分かった上で受け入れています」
「困ったことや悩みがあるなら、素直に話してください」

なんとか笑顔になってもらおうと色々フォローするのですが、逆に優しい言葉をかけた形になってしまい、余計に泣きそうな顔に。

ヤバイ、ヤバイよ!

この子は工場掃除のときに、二人の男子の邪魔にならないよう、二人を上手に避けながら掃き掃除をしていました。力を使う場面では男子に役目を譲り、力を必要としない作業を積極的に引き受けていました。

確かに、男子と同じことはできません。その男子と比較したら「自分は何もできない」と思うでしょう。

しかしそうではなく「そもそも役割が違う」のです。それが分かっていたから、男子の邪魔になりそうな時はスッと身を引いた。彼女はそういう気配りができる子だったのです。

「三つの『ひ』」というお話があります。三つの『ひ』とは「批判」「比較」「否定」のことです。私たちは日々「競争」にさらされています。そこはできなければ批判され、他人と比較され、時には人格を否定される、そんな殺伐とした世界です。

そこでは「義務・犠牲・我慢・頑張る」の「4G」が美徳とされます。しかし、その世界では、人は心を病んでしまいます。

ですから、これからは4GではなくLTE、すなわち「Love Thanks Enjoy」の世界になっていくでしょう。愛情持って他人に接し、全てのものに感謝して、自分の人生を楽しむ。そういう世の中に、間違いなくなっていきます。

だから、自分で自分を否定しないで欲しい、批判や否定、比較をしてくる人とは距離を置いて欲しい。

短い時間だったけれど、アナタのいい所を沢山見ることができて私はとてもうれしく思いました。

そんなことを伝えたところ、ようやく晴れ晴れとした、この二日間で一番の笑顔を見せてくれました。

まとめの時間も終わり、別れの時。

最後に彼女は一人、黙々とホワイトボードをキレイにしてくれました。マーカーやイレイザーを置く所も、ウェットティッシュで丁寧にぬぐってくれました。彼女が最後に私に見せてくれた、精一杯の感謝の気持ちだったように思います。

職場体験。来年も受け入れようと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました