演武の練習をするバカがあるか!

合気道

私は岩間の斎藤仁平先生に「演武の練習をするバカがあるか!」と一喝された事があります。

仙台市武道館で行われた斎藤仁平先生の、あの時の演武は本当に素晴らしい演武でした。受けを務めた兄弟子は見事に崩され、投げられ、決められていました。

それがどれだけ高度な演武だったかは、傍で見ていてよく分かりました。とても真似できるものではなく、まばたきすら忘れて二人の演武を見つめていました。

演武を終え、斎藤先生が戻ってくる時に思わず「素晴らしい演武でした!」と思わず声をかけてしまう、それ程までの演武でした。

その後の直会で、失礼ながら質問したんですね。「あの演武はいつ練習したんですか?」と。

あれだけ高度な演武なのですから、当然受けの人と練習なり打ち合わせがあったのだと思っていたのです。斎藤先生は苦笑しながら「演武の練習をするバカがあるか!」と私を一喝したのです。

斎藤先生は続けてこう言いました。「演武というものは、その時の実力が出るもんなんだ。失敗したら、それが実力なんだ」。この言葉はガツンと心に響きました。

それ以来私は、本番前に演武の練習をすることを一切止めました。受けの人が不安に思うので打ち合わせ位はしますが、実際に打ち合わせ通りに演武したことはほとんどありません。

本番で自然に出る技に任せる。頭で考えずに自然に技が出る。それが自分の実力を表す「演武」なのだと思います。

演武の前に、何度も何度も練習して本番に望む。それって「演武」ではなく「演舞」ですね。

「武」ではなく「舞」を目指すならいいのでしょうが、それは大先生が残した合気道とは違うような気がします。

技が効いていないのに崩れる。積極的に飛ぶ。受けに余裕がある。これらは皆「演舞」です。

演武を終えて引き上げるとき、演武者が仲間とハイタッチしている光景を見たことがありますが、感覚的には「演舞」なのでしょうね。

宮城野合氣修練道場(MiyaginoAikiShurenDojo)
仙台市宮城野区中野で営業中の自動車整備工場(有)鈴木ボデー工業所。その事務所2階でひっそりと稽古している合気道道場です。Miyagino Aiki Shuren Dojo is AIKIDO Dojo.

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